TOKYO UNIVERSITY OF THE ARTS, INTERNATIONAL RESOURCE CENTER OF ARTS, Existing Library Building

東京藝術大学 国際藝術リソースセンター 既存図書館棟(改修)

 

附属図書館の復原的改修

 

新たな国際藝術リソースセンター(IRCA)の一部として整備するため,附属図書館(既存図書館棟)は内部機能を再編し,蔵書の増加に対応,合わせて耐震補強と温熱環境の向上を行う改修が行われた.

この建物は1965年に附属図書館・芸術資料館として完成した(本誌6511).設計は当時の建築科教授・天野太郎(19181990年)による.簡潔な構造による豊かな内部空間,公園の中にある大学を意識した建物と外部空間の関係性を特質とし,天井の高い閲覧空間の広がり,周囲の大きな開口から杜が見える心地よさは利用者に親しまれてきた.2009年には同じキャンパス内の絵画棟,彫刻棟と共に「日本におけるDOCOMOMO145選」に選定されている.改修設計では,大学側から図書館内外の歴史性,伝統への配慮も求められた.

新しい要求に積極的に応えながら,建物が持つ建築的価値を回復,維持する復原的改修という方針で,卒業生を中心とするわれわれ設計チームは設計に臨んだ.既存のローコストでコンクリート躯体現しのデザインを尊重するため,新しい機能,設備を加える部分を明瞭にするデザインで原状が分かるように考えた.

2階は間仕切りをなくし,ひと繋がりの空間にして開架を増やした.大閲覧室の中央部は低めの書架と閲覧テーブルで当初の広がりを回復,窓際にはパーソナルな閲覧場所を家具で設けた.グループ演習エリアやエレベーターはガラススクリーンの中に配置し,空間に一体感を持たせている.耐震のため追加する壁は外観の印象を変えないよう配置し,書架の増加による荷重増に対して床スラブで補強をした.元の建物には設備を納める仕上げ代がないため,追加されたエアコンが目立っていたが,今回の改修で閲覧カウンター下に組み込むことができた.

一室化した閲覧空間に加え,1階入口から「藝大アートプラザ」までの見通しを元に戻した.時が移り,使い方が変わっても,建物内外の空間を歩く時,あるいは書架の間で過ごす時,それが気持ちよく感じられれば,原設計で大切にされていた建築の質という面においても復原的改修ができたのではないかと考えている.(山本圭介・堀啓二・袴田喜夫・橋本久道・吉松秀樹)

 

 

・データ

 

名称   :東京藝術大学 国際藝術リソースセンター 既存図書館棟

受賞   :JIA25年賞 2019(改修設計)

所在地  :東京都台東区上野公園12-8

施主   :国立大学法人 東京芸術大学

主要用途 :大学図書館

設計期間 2016.112017.05

施工期間 2017.092018.08

改修設計 :山本・堀アーキテクツ

      袴田喜夫建築設計室

      橋本久道建築設計事務所  

      吉松秀樹+アーキプロ

担当   :アーキプロ / 吉松秀樹、前田道雄

構造設計 :松本構造設計室

設備設計 :総合設備計画

施工会社 :建築 冨士工

      空調・衛生 東洋機動

      電気 成瀬電気工事

敷地面積 33,860.71m2

建築面積 1,046.63m2

延床面積 2,740.19m2

構造   :主体構造 鉄筋コンクリート造 杭・基礎 直接基礎 設備

階数   :地下1階 地上3階

掲載誌  :新建築 1812 / DOCOMOMOニュースレター 2019年 秋・冬号

撮影   :トロロスタジオ 谷川ヒロシ(竣工時・工事前写真は除く)

 


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